〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 記憶があるのは前半十五分頃。

 未撫のドリブルで相手を抜かして、近い距離からのシュートをゴールキーパーがはじいた。
 こぼれたボールをリエがダイレクトシュート。ゴールに吸い込まれるように入った。

 リエがわざわざ珠理のもとへ走って、抱きついてきた。

 珠理は突然のことに、目が丸くなっている。

「リエさん苦しいよー。」

「なによ、今のジュジュのおかげよ。」

 珠理がゴールキックで蹴ったボールを、すみれが受け取って、すみれからのパスを受け未撫がドリブルしシュートして、こぼれたボールをリエがもう一度シュートした。

 珠理とすみれの距離は遠かった。
 でも正確なキックですみれのもとに届けた。だから、リエは珠理を褒め称えている。


「ジュジュ、やるじゃん。」

 すみれがVサイン。他の選手も珠理を称えている。

 みんな、珠理に気を使っているみたい。

 この時は珠理は照れた。

「早く戻れ!」

 監督に怒られて、みんなそれぞれの位置についた。

 

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