〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 もし得点が入った場合。

 得点を決められたチームが、試合開始と同じようにして再開する。

 センターサークル内に、相手の白いユニホームを纏った二人の選手と、ボール。

 選手は珠理のほうを向いて立っている。
 相手の目が怖く感じる。

 ぴーぃ~♪

 笛が鳴っているのを聞いて、また記憶がなくなった。



 ・・・・・・・・・・・


 その後記憶があるのは、前半二十一分頃。

 
――えっ?!――

 自分は芝の上に倒れこんでいる。

 後ろを見ると、ゴールの中にボールがある。

 見間違いかと思って、起き上がってボールがあるほうへ。
 ボールを拾いあげた。首をかしげながら見る。

 やっぱり、ボールだ。 

 見間違いじゃない。


「ごめん、無理させちゃって。」

 あかりの声は落ち込んでるように聞こえる。

 視界を広げると、青色の味方はがっくりしてて、白色の敵は喜んでいる。



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