〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 珠理は真後ろにある電光掲示板を見る。

 得点は、

 1-1

 と示されている。

 さっきまでは0-1だった。

 
――入っちゃったんだ。――

 徐々に、悔しさ、虚しさがわき出る。チームのために、このシュートを止められなかったと思うと、わき出るスピードが速くなった。
 どのようにして入れられたのか分からない。
 分からないけど、

「ごめん。」

 珠理の声は小さすぎて、味方に届かない。


「ジュジュ、本当、meのせいだから。」

 あかりはアメリカ人と日本人のハーフだから、少し英語が混じる。

 チームメートはあかりを傷つけない程度に、それに突っ込むが、今ばかりはそれどころではない。

「いや、うちのせいだよ。」

 空を見上げた。
 
 誰かに背中を叩かれた。

 後ろを見れば梗子がいる。

「これは、タワーと私のせいだから。
 落ち込まないで。」

 さらに頭をなでる。





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