〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 珠理は周りのチームメートの目が怖く感じる。
 本当は、記憶失っていているだろうっと言っているようで。
 
「今の、うち、止められたよ。」

 こう言えば、チームメートの目は和らぐだろうと思って。

 確かに、珠理は芝生の上に倒れてた。
 止めようとした。

 でも、どのプレーに対して、どのようにして止めようとしたのか、分からない。

 分からないけど、あかりと梗子がフォローしてくれるのが申し訳なく感じる。

「ほら、再開するよ。」

 絆の声で三人は定位置に。

 城崎ドルフィンガールズのキックオフで試合再開。
 

 珠理は得点入れられた悔しさが、まだ胸にある。

 失点した場面を思い出そうとする。

 本当は切り換えなきゃいけないのに。

 まだ後半もあるが、少しずつ負けた気分になっていく。

 相手の目を見ると、怖く感じる。
 
 珠理を無言でけなしているようで。


 やばい!

 シュートがいきなり飛んできた。


――えっ。――

 反射で取っていた。


  
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