〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 今、今、今!

 頭がそう言っても、体がついていかない。

 どうしようと思ってふと前を見たら、南良能がボールを持っている十番の選手に追いついてた。

 真横から、南良能は相手を追い込む。サイドラインの外にボールを出そうとする。

 相手は南良能を振り切ろうと、細かい切り返しをする。だが、南良能は動じず、相手にべったりついている。


 相手がもう一人来る。背番号は五番。珠理の真正面にいる。

「ミツヤさん!五番!」

 絆に、攻め上がってきた五番に対してマークするように指示。

 珠理は南良能の方を見る。

 南良能は相手に向きを変えないように、しっかり守備している。

 そのおかげか、相手はゴールではなく、エンドライン側に向いている。

 すみれが戻ってきた。

「いっつー、ミラノさんのカバー!」

 すみれは南良能の近くで腰を落とし構える。

 南良能はボールを取ろうと足を伸ばす。




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