〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ちらりと反対側を見る。

 二・三メートル先に相手がいる。

 九番の選手。しかもフリーの状態。至近距離にもかかわらず。
 しかも、警戒しなきゃいけない選手である。

 絆は五番についている。
 どうしよう・・・。


 あっ。あかりが戻ってきた。

「タワー、九番!」

 身長百七十八センチのあかり。“タワー”とあだ名がついたのも、これに由来する。
 あかりのマークにつかれた瞬間、嫌な顔をした。

 その瞬間、

 ぴーぃ~♪

 相手が南良能にボールを当てて、わざと自分のスローインにさせた。
 
 南良能は嫌な顔。

「切り替え、切り替え!
 My ballにしよう!」

 絆の声で、南良能の嫌な顔は消え、集中している顔になった。

 このころになると、城崎ドルフィンガールズは全員珠理のもとに戻っていた。

 相手は二人攻撃に参加してない。

 数的に見れば、城崎ドルフィンガールズが有利だ。

 
 

 
 
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