〔完〕　うち、なでしこになるんだから
　それでも剛溜が決めたこと。姉が忠告しても、聞かないようだったらもうだめだ。
　珠理が後悔しても、どうにもならない。

　剛溜は昔から、ポーカーフェイスで無口だが、一度やるって言ったらやり通す人だ。周りがなんと言おうとも、自分のやりたいことをやってきた。

　そんなことを思っていたら、いつの間にか剛溜がいなくなっている。っと言うより、珠理の視界から消えていると言ったほうが早い。


　珠理の視界から再び剛溜の姿が見えた時、　源希がボールを置き、剛溜はディフェンスの体勢を取っていた。

　剛溜と源希の目は鋭い。
　かつて、バンバンＦＣ史上最強のツートップ（布陣で一番最前列にいるポジション。これはあくまでも理想。最前列が二人いることを指す。）と言われた。

　あの日までは、二人とも上手くて、お互いに協力し合ってた。

　今はお互いのプライドがぶつかっている。

　負けない気持ちが、源希は顔に出てて、剛溜は静かに燃え上がる。

　珠理はもう、二人を止められない。
　怯えながら見るしかない。


< 177 / 213 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop