〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 毬百が満にボールを蹴り、満が足で受け止めた。
 
 その瞬間、さっきとは違って重々しい雰囲気となった。

 四人の目は真剣。

 特に珠理は。


――絶対止めるから。――

 毬百と珠理はボールに対して、位置を取る。

 満は毬百に対し仁王立ち。

 別に、満は毬百に対して恨みとかそういうのがあるわけではない。

 真剣になっているだけ。


 満がすみれへパスを送る。
 スピードがあって強い。

 毬百と珠理は無理に、パスカットしようとしない。

 毬百はすみれがボールを受け取ったあとに位置につけた。
 珠理も、ボールに合わせてまた位置を取る。

 すみれの目からすると、ドリブルを仕掛けるか。

 いや、仕掛けないようだ。

 満の動きを見ている。


――ナガモンはどう動くか。
   死角に入らないようにしなきゃ。――



 

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