〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「城崎。」
『はい。』
「ファイト。」
『はい、一・二・三・四ー、いーけ。』
「はい。」

 この掛け声を走っている最中繰り返す。
 これも大事。


 最初時計回りに走っていたが、二分三十秒後に反時計回りに方向を変えて、また二分三十秒走る。
 合計五分間走った後は、準備体操からの柔軟体操。

 柔軟体操をしっかりやらなかったせいで、珠理は一回怪我したことがある。

 珠理の父親に叱られ、それ以来、柔軟体操や準備体操は手を抜いたことがない。

 あっ、昼休みの自主練の時も、ある程度準備体操をしている。


「ふーっ。」

 柔軟体操が終わり、大きく息を吐く。

「基本運動。」

 梗子の声。

『はーい。』

 バスケットボールのコートのエンドラインから、反対側のエンドラインまで、ダッシュしたり、体育座りから起き上がって走ったり・・・。

 基礎体力なしに、技術なし。

 珠理はこの練習も、できるだけ全力を出すようにしてる。 


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