Wild Rock


 ファブニルに抱えられ、か細い声で説明した。

「た、たかが五月蝿いってだけで、あの子の封印解いたっていうの??」

 あきれた口調で言うと、マリアはコクリと頷いた。

「お前はバカかっ!」

 銃をフェンリルに向け、今にも撃ち殺してやろうかという視線を送ると、すごすごと引き下がった。


「っはははっ! 愚かですね! 聖女というのは、何と愚かな生き物か!」

 高らかと声を上げて笑うベリアルを横目に、メイデンは冷ややかな視線を送っていた。

「愚かなのは、あなたよ。ベリアル」

 そう呟くと、ベリアルの体から無数の棘が、血と共に噴き出した。

 ルーシュは目を潜め、あとの三人は驚愕の声を出した。

 ベリアルは棘だらけの腕を見て、その棘だらけの手で顔を押さえて叫びを上げた。

「ぼっ! 僕の美しい顔が! 腕があああぁっ!!」

 狂ったように体を暴れさせ、メイデンを睨みつけた。

「メイデンンン! これはいったいどういうことだあああっ!!」


 
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