Wild Rock
下のカフェでは、いつも通りの三人が五月蝿く昼食を取っていた。
「それ俺の生ハム!」
「てめぇは野菜食ってろ!」
「まあまあ二人とも、少しはカルシウムも取らなきゃ。あらマリア、よく眠れた?」
マリアは無言で席に着き、フェンリルのコーヒーを取り上げて一口飲んだ。
今まで暴れていたルーシュは大人しくなり、マリアはそれを見ていつもの言葉を口に出した。
「ルーシュ。お前の飼い主は誰だい?」
「マ…マリア…」
ストローを口にしながらそう言うと、バケットに入っていたパンを取りながらマリアが言った。
「わかっていればいい」
それを聞いたフェンリルとファブニルは、フッと笑い出した。
素直じゃない奴、っと思いながら。
奥からアテナが現れ、軽めのリゾットをマリアの前に置いた。
「お体の調子が悪いと聞きましたので、リゾットを作ってみました」
マリアはアテナのほうに体を向け、銀のペンダントを手渡した。
アテナはそれを見るなり、声をあげて泣き出した。
マリアが領主の屋敷に向かっていた時、襲ってきたネクロマンサーの一人が持っていた物。
あの時アテナの首にかかっていたペンダントと同じものをかけていたため、もしやと思い、拾っていたのだ。