Wild Rock


 ルーシュは、知らない知らないと体越しで否定しながら思い切り首を横に振る。

 乙女座りでさめざめと哀れに泣く妻と、浮気した亭主が否定している場面の如く。

 どちらが悪いかは一目瞭然。

『てめぇが悪い』

「な、何で~っ!!」

 ベソをかきだすと、少女は涙をぬぐいながら矛先をマリアに変えた。

「貴女が悪いのね! ルーシュ様から記憶を抜くだなんて、なんて卑劣なマネしてくださいますの!」

「は?」

 マヌケな声など普段出さないマリア。

 少女は回りに黄色いつぶてを出し、ルーシュを除く三人に撃ち付けた。

「ぐっ!」

「きゃっ!」

「ぐあっ!」

 マリアは腕をかすめる程度で避け、あとの二人はとっさの事で避けられず直撃。

「ロードクロサイトパワー!
スタートアップ!」

 左腕につけていた淡いピンクのブレスレットを外しながら叫ぶと、赤かった瞳が獲物を狙う紫の瞳にかわった。

 
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