Wild Rock


「そんなに愛しいのなら、なぜ好かれる行動をとらなかった?」

 パイモンは攻撃を止め、碧眼で見上げられて悪寒を走らせる。

「歪んだ愛情よりも、純粋な愛情を欲しかったからこそ、奴はユリシーズを選んだんじゃねーのかよ!」

 ただ自分を愛してほしい。

 自分だけを見つめていてほしい。

 自分勝手な歪んだ愛情をルーシュにぶつけていたパイモン。
 ユリシーズは純粋な想いでルーシュと接していた。

 決して自分から愛してほしいなどとは言わなかった。

 なのにルーシュはユリシーズへ想いを寄せていた。

 敵わないとわかっていても、嫉妬と憎悪に満ちた女に言っても聞くはずもなく…。

「おだまり! 今度は私が手を下してさしあげます! 今度こそ甦らぬよう魂ごと葬ってやりますわ!」

 黒い光りの塊を手の平に集め、不気味な笑みを浮かばせる。

「ヴァン・ウイング!!」

 パン!

 ルーシュが閉じ込められていたシャボン玉を、光りの刃が切り裂く。

 落ちるルーシュをフェンリルが俵担ぎで奪い去り、マリアの元へ走る。

 
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