Wild Rock


 指輪とブレスレットを見つめ、目の前にクロスして呪文を唱える。

「清らかき水の調べ
 灼熱の紅き炎の調べ
相対せしエレメントの力よ!
我が声に応えて今こそ示せ!」

 指輪とブレスレットが紅と青の光りを放ち、その光りがマリアを包み込む。

「くっ!」

 小さなうめき声を上げ、持っていかれそうになる意識を留める。

 光りは徐々に広がり、枯れていた木々達を一気に芽吹かせた。

 パイモンはその強大な力に脅威を感じ、三人への攻撃を止めてマリアの元へ飛ぶ。

「ユリシーズ!! 死ねええっ!!」

 つぶてに更に魔力を増幅させて投げつける。

『マリアー!!』

 三人が駆け寄るがパイモンのほうが格段に早く、間に合わない。

 名を呼ぶ叫び声だけが風にさらわれる。

「さあ…懺悔の時間だ…」

 まぶたをゆっくりと開け、空を剣で横一線に斬る。

 すると放たれたつぶてが一瞬の内に消え去り、パイモンは驚愕の声を上げた。

 
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