Wild Rock


 多少、いやかなりへこんでいる俺を見兼ねてか、アニエスは含み笑いをしたあと、声を出して笑った。

 だけどそれが、たまらなく可愛く見えてしまった。

 その日から、アニエスは俺の中で特別な存在になっていった。

 オーナーに言われ、俺はバーテンダーとして働くことになった。

 今まではギャンブルで金儲けをし、悪ダチと遊びながら生活してたもんだから、真面目に仕事して働くなんてのは初めてだ。

 一点の曇りもないグラスを磨き、並べていく。

 何だか今までの悪さしてきた俺が清められているような気がした。

 隣では、凛とした姿でカクテルを作っているアニエス。

 カクテルグラスに注ぎ入れる姿はたまらなく綺麗で、見とれていたら…。


 ごんっ。


「つおっ?!」

「見とれてんのもいいけど、仕事してくれよ?」

 困った顔のオーナーに軽く叩かれ、カウンターにいた客に笑われてしまった。

 
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