Wild Rock
天空(そら)の渇いた風が、汗や血だらけになった身体を撫でていく。
汗に吹く風は心地いいが、血に関してはかなり迷惑である。
肉を引き攣らせ、地味な痛みが身体を這うからだ。
四人がいくら息をきらせても、相手は機械人形。
汗一つどころか息切れ一つしていない。
そんな中でも、マリアとフェンリルはタバコを口から離さなかった。
「そんなに息切れしてるのに、よく吸えるわね?」
「俺達の栄養補給なんでね、かまわねぇだろ?」
タバコを栄養補給代わりにするのもどうかと思うが、メイデンはさほど気にしてはいなかった。
「どうした? かかってこいよ」
ブレスブレードを構えながら、ルーシュは唾液を飲み込んだ。
メイデンはフワッと軽くジャンプし、強く地面を蹴ってルーシュに向かって走り出す。
(早いっ!!)
スピードと針の剣を振り落とす重さで、受け止めるのが精一杯。
何とか足だけでも、蹴りの一発さえ、どこでもいい、入るなら!