Wild Rock


 何かが落ちる音が聞こえ、下を見ると、そこには自分の腕が落ちていた。

 動揺している間に、その一瞬を突かれ、マリアの手によって落とされたのだ。

 目の前には、不敵な笑みを見せるマリア。

 そしてその手には銃が握られ、零距離から撃たれる寸前。

 引き金を引く小さな音を拾わなければ、脳天に風穴が開いていたであろうその一瞬をギリギリでかわし、靡いていた長い髪の毛がハラリと風に乗る。

 よろけた所にフェンリルがメイデンの顔を掴み、勢いよく地面に叩きつけた。

「神の力も魔の力も無力化すんなら、肉弾戦しかねぇのよこれが!」

 赤い液体を、冷たいコンクリートの床に流して横たわるメイデン。

「や、壊(や)ったか…?」


 ぴく…っ…


「まだよ! 構え、うぷっ!」

 メイデンから噴き出す魔風に吹き飛ばされ、四人は床に倒れるように滑った。


 
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