Wild Rock


 壊れた人形の様に、カタカタと音をたてながら立ち上がると、高らかに笑い出した。


「あははは! ウフフフ…愉しい。愉しいわ! こんなに愉しいのは初めてよ!」

 肩慣らしのように軽く首を回すと、フェンリルの上に瞬時に馬乗りになり、ゾッとするほどの笑みを見せた。

 落とされていない方の手で顔を掴み、口裂け女のように耳まで開いた口で、肩の骨ごと肉をかみ砕く。

「がっ! ああああああっ!!」

 激痛に耐え切れず、こだするほどの叫び声をあげた。

「フェンリルから離れ、なっ?!」

 鉄扇を開いたと同時に目の前にメイデンが現れ、フェンリルは脇腹をかみ砕かれ、激痛と悲鳴とともに、その場に倒れ伏した。

「次は…」

 首だけを回し、マリアに壊れたように見開いた目を向ける。

 周りには息もか細い三人が横たわっている。

 マリアは唇を噛み締め、向かって来るメイデンに剣を向けた。


「まだわからないの~?! あんたは一人じゃなんもできないのよ! 大人しく…喰われろおおおっ!」


 
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