Wild Rock


「マリアは……」

 ルーシュが血を拭いながら言う。


「俺達の光りは……」

 破れた服を破り捨てながらフェンリルが言う。


「アタシ達の心帰れる場所を……」


 髪をかき上げながらファブニルが言う。


『絶対に手出しはさせねえっ!!』


 三人の解放された力が、自分達の武器に力を与える。

 そして解放された力が、一瞬の静けさを生む。

 メイデンはその静けさが、あまりなも不気味で恐怖すら覚えた。

 一陣の風が吹いたと同時に、メイデンが目を見開いて血を吐く。

「バッ…バカなッ……ガハッ!」

 マリアは、自分の目の前で起こっていることが信じられないでいた。

 目にも留まらぬ速さとはこのことだろうか?

 三人がメイデンの腹を貫いていたのだから。

 ギギギッと、錆び付いたような音をたてながら、三人を見下ろす。

 三人はメイデンを見上げ、剣を抜くようにメイデンを蹴り飛ばした。

(な…何なの? 何なのあの力は?! 解放された力とは何かが違う! まるで、まるで…!)


 
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