Wild Rock
ー七年前ー
アタシは当時二十歳。
小さな町に一件しかない病院の息子として産まれた。
双子の姉と共に…。
優しいけれど、怒ると怖い母がいて、町の人から尊敬され、慕われる憧れの父がいて、オテンバだけど、父を目標に医者を目指して必死で勉強する姉。
そんなごく普通の家庭で育ったアタシは幸せだった。
あの悲劇が始まるまでは…。
アタシ達姉弟は、三年に一度行われる、医学研修候補生のキップを選るための試験に向けて猛勉強をしていた。
その試験に合格すれば、その間偉大な医学博士の研修が二年に渡り学べれるキップ。
揃って二人で行こうねって、甘いキスをしながら約束したわ。
姉弟で愛し合うなんて、バカバカしいっていう人もいるかもしれない。
神に背いてでも、アタシは姉を、フォボス姉さんを、抱いて愛した。
合格発表の手紙が届いた時は、少し落ち込んだ。
姉さんは合格で、アタシは不合格。
頭の良さだけは、同じ双子なのに違うと実感。
「おめでとう姉さん」
「一緒に行きたかったけど、ディモスの分まで、学んでくるわ」
その日の夜は、会えない二年分を埋めるように求めあった。
貪るように唇を重ね、甘い声に酔わされ、姉さんを貫くその快感。
離れたくなかった…。