Wild Rock

 あれから一年が経ったある日、一台の馬車が家の前にやって来た。

 真っ黒なローブを被った男がアタシに黒い封筒を渡し、中の手紙に目を落とした。

「?!」

 手が震え、目を見開いて積み荷へと視線を移した。

「そんな…嘘だ…」

 涙が頬を伝う。

「父さん! 母さん!! フォボス姉さんが!!」




 悲しみの中、父とアタシで姉さんを霊安室へと運ぶ。
 母は横たわった姉さんに、しがみつくように泣きわめいた。

 どうしてこんなことに…っと。


 かくいうアタシは、無機質な部屋の角にうずくまっていた。

 どうしても信じられなかった。
 週に一度は必ず手紙も来ていた。
 筆圧とか、文にも、今自分自身に何か起こってるから助けてなんてのも、読み取れるものなんかなかったのに…。

 そんな悩みつづける中でも、枯れることを知らない涙が溢れ出る。
 そんな姿を、両親は痛々しく見つめていた。

 仲がよかった分、声をかければ精神が壊れると思ったのだろう。決して声はかけようとしなかった。

 一番悲しいのは、両親のはずなのに…。


 
< 67 / 251 >

この作品をシェア

pagetop