Wild Rock
あれから一年が経ったある日、一台の馬車が家の前にやって来た。
真っ黒なローブを被った男がアタシに黒い封筒を渡し、中の手紙に目を落とした。
「?!」
手が震え、目を見開いて積み荷へと視線を移した。
「そんな…嘘だ…」
涙が頬を伝う。
「父さん! 母さん!! フォボス姉さんが!!」
悲しみの中、父とアタシで姉さんを霊安室へと運ぶ。
母は横たわった姉さんに、しがみつくように泣きわめいた。
どうしてこんなことに…っと。
かくいうアタシは、無機質な部屋の角にうずくまっていた。
どうしても信じられなかった。
週に一度は必ず手紙も来ていた。
筆圧とか、文にも、今自分自身に何か起こってるから助けてなんてのも、読み取れるものなんかなかったのに…。
そんな悩みつづける中でも、枯れることを知らない涙が溢れ出る。
そんな姿を、両親は痛々しく見つめていた。
仲がよかった分、声をかければ精神が壊れると思ったのだろう。決して声はかけようとしなかった。
一番悲しいのは、両親のはずなのに…。