Wild Rock
 砂埃から出てきたのは、巨大なカニ。

「うほあ~! うまそうなでっかいカニ~!!」

 辺りを見回したあと、ハトホル修道院を見つけ、そこ目掛けて前進し始めた。

「げっ! カニが前進してやがる!」

 マリアを除く三人は仰天。
 マリアはというと、新しいタバコに火を点け、一息ついていた。

「ほう。よく調教された芸達者なカニだな。どうやったらいいのか教えてほしいくらいだ」

「感心しとる場合かあっ!」

 感心しているマリアに泣きながら叫ぶファブニルだが、カニは容赦なく街を崩壊させながら向かってきている。

 マリアは舌打ちをしながらタバコを吹き捨てた。

「ちっ。ファブニルとフェンリルはザコ共を相手してろ。ルーシュはあのカニを何とか止めてろ。時間を稼げ」

『了解!』

 三人は指示された通りの行動を取り、マリアは修道院の塀の上へと飛び上がる。

 一筋の風がマリアの頬を撫でると、静かに目を閉じ、祈りの符呪を永唱する。

 
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