神様修行はじめます!
熱に浮かされて意識が遠のく。

門川君の体がヒンヤリとして気持ちいい。

あ―、冷たい・・・。

ぼんやりとした意識の中、会話が聞こえる。


「里緒さんは大丈夫ですか?」

「気を失ったようです」

「力は封印されていたようじゃの」

「命に関わる事態になった時、初めて解除されるようになっていたようだ」

「永久、わかっておったのか?」

「予想はしていた」


二人と一匹が、あたしの顔を覗き込んでいる気配が伝わってくる。

門川君の顔が近づくと冷たい空気を感じて気持ちいい。


「なぜ封印など施したかのぉ?」

「ナオは、里緒さんに力に目覚めて欲しくはなかったのですよ」

「護身術まで教えて、よほどの事態でも起こらぬ限り解除されぬようにしたか」

「生きている間、ナオがずっと守り続けてきたのでしょう」

おばあ様の悲しそうな声が聞こえる。


「そして、もはや自分が守れぬ時が来たのを悟り・・・」

「やむなくここを頼って逝ったのでしょうね」

「・・・心残りだったであろうな」


あたしを抱える門川君の腕に、心なしか力が強まった気がした。
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