神様修行はじめます!
「永久、里緒さんを部屋へ」

「はい。おばあ様」

ふわっ・・・と体が浮く感覚。

あたし、抱き上げられてるんだ。


全身を門川君の腕と胸にゆだねて、あたしは運ばれていく。


冷たくて、気持ちいい・・・。

ひんやり・・・。

もっと、もっと・・・。


つい、冷たさを求めて門川君の胸にすがりついた。


その時・・・

ちいさな、ちいさな


とてもちいさな、ささやき・・・。


『怖かったろう。すまない』


それは本当にちいさなささやき声で。

こんな近くでさえ、よく聞き取れないほど。

でもホッとするほど優しい声だった。


・・・空耳、かなぁ・・・?


あたしの意識は、ことん、と切れた。


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