GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
「ケルブ…」



天界に夜は来ない…


天界は陽の光だけが照らし続ける煌いた場所。



明かり窓に差し込む月の光が俺たちに降り注ぐ。



でも、月は細い弧を描いた三日月。



ケルブの憔悴しきった顔を見ていると俺は何も言えなかった。




「…俺は人の欲望に穢された身…天界に戻れば…聖なる場所を穢すことになります。ケルブ様…貴方のお気持ちは嬉しいですが、お引取りください」



「・・・」



「俺はもはや堕天使…堕ちた天使は人として生き、この下界で朽ち果てるしかありません」







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