横で眠る「あなた」【未完】
第43章
その日は、私と理先輩以外は、別荘にいなかった。
私は読書感想文、理先輩は社会科の調べもの学習を抱えていた。

ふと時計をみると、お昼の時間を指している。
理先輩に、お昼にしないかと声をかけてみた。

理先輩も、お腹が減ったということだったので、お昼にした。
食べたら、すぐに又勉強に戻る予定だったので、すぐに作れるパスタにした。
そして、午後の勉強に戻ろうとした。

理先輩が、「僕の部屋に面白い本があるんだ。来ない?」と言った。
もともと、本好きな私は、興味がわき「お邪魔していいんですか?」と聞くと「どうぞ。」と理先輩は答えた。

考えてみると、理先輩の部屋に入るのは、初めてだった。ちょっと、ドキドキした。
先輩の机の上には、今まで勉強していた様子がある。

所在無げに立っていると、「ベットの上にでも座って。」と言う。
なんか別の事を意識しそうだったけど、とりあえず座った。

そして、理先輩が本を持ってきた。
外国の翻訳小説で、翻訳家の訳が独特で面白いと評判だった。
貸してくれたら、部屋を出て行こうと思っていた私の横に理先輩は、座った。

私の肩を引き寄せ、耳元で、小説を朗読し始めた。
先輩の息が、耳にかかって、くすぐったい。
しかも、先輩はいつもよりも必要以上に甘い声で、朗読する。

なんで、こんなイジワルするの? 変な気持ちになっちゃうよ?

そう思って、俯くと、甘い声で「どうしたの? 耳も顔も真っ赤だ」と言う。

「先輩。なんのイジワルですか?」と聞くと、私の耳を甘噛みしながら、「ん?イジワルじゃないよ。」「きみをかわいがっているんだよ。」と言う。
それに対して、反論をしようとしたら、キスで、口をふさがれた。

理先輩から離れようと試みたが、理先輩は私の頭の後頭部を持ち角度を変えて、何度もキスをした。

そして、もう1度、耳を甘噛みして、「きみが抱きたい。」と言った。
いつかはこういう日が来ることは、わかっていた。 それが、「今」ということなのだろうか?
「理先輩。 私、初めてだから先輩に迷惑かけるかもしれないですよ?」と言うと「迷惑って何?」と聞かれたので、「泣いたり、血が出たり、うまくできなかったり」と言うと「初めからうまくできることってそうないでしょ? 泣くとか血が出るのは生理現象。むしろ、[初めて]が自分って男は、嬉しいんだよ。」と言われた。


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