横で眠る「あなた」【未完】
第53章
私の話は、やはり理先輩を傷つけてしまったかもしれない。
しかも、ずっと言わなかった事が、もっと理先輩を傷つけているようだった。

もしも、今ここで理先輩に、別れを告げられても、仕方がないと思った。
それだけ、私は理先輩を傷つけてしまった。

理先輩に迷惑がかるなんて言いながら、結局はそれは自分自身の保身でしかなかったことに、今更ながら気がつかされる。

理先輩が、どんな答えを出したとしても、今の私にはそれを従うしかないと思った。

今の理先輩には、心が伴なわなくても「1夜限り」の相手はたくさんいる。
その中に、心も伴う人がいるかもしれない。

イジメで怪我をして、身体に触られるのが辛い時に、理先輩が心身ともに癒して貰える人と出会っていたとしても、おかしくない。

それは、ツライけれど、受け入れなければいけないことだ。
縋っても、理先輩は戻ってこない。


そんなことを考えていると、理先輩が「きみが、ツライとサインを出していたのに、僕は気がつかなかった。 申し訳ない。
でも、僕を信用して、そのツラサを話して欲しかったし、これからも話して欲しい。
やはり、人間は言葉で、コミュニケーションを取る動物だ。
サインも悪くはないけど、それだけではわからないよ。」と言った。

そして、「僕は、これからもきみとつきあい続けたい。きみは?」と聞かれた。

私はビックリして「理先輩のことをこんなに傷つけたのに、それでもまだ私とつきあってくれるんですか?」と聞くと「好きなのに、別れると言う選択は出てこないよね?」と言った。

私も理先輩が好きだった。
別れたくないと思っていた。

だから「私も別れたくありません。」と言うと「じゃあ。問題ないね。」と理先輩は言った。
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