横で眠る「あなた」【未完】
第66章
夏休みに入る時、理先輩のバイクが丘を下ったところに、止めてあった。

「理先輩?」と言うと「迎えに来た。」と言う。
迎えに来たって、今アメリカじゃないの?と色々思う。

理先輩が「とりあえず、乗って。」と言うし、周囲の好奇の目からも逃れたかったので、急いで乗った。

そして、近くの川の1件宿に、その日は宿泊した。

「理先輩。アメリカからいつ帰ってきたんですか?」と聞くと「昨日帰ってきた。」と言った。
「また、戻るんですか?」と聞くと「すぐに、戻るよ。」と答える。
「じゃあ。理先輩は、何か用事があって戻って来たんですね。」と言うと「そうだね。」と頷いた。

「きみの顔を見て、話したいと思ったから、戻ってきた。」と言った。

「話しですか?」と言うと「そう。やっぱり、僕との結婚は、まだ無理かな?」と聞いた。

答えは変わりません。まだ、誰との結婚も考えられないです。それに、学校が始まって、今は学校に夢中です。」とも言った。

そうすると、「アメリカに来るという選択は、きみの中にはないんだね?」と言う。
「そうですね。私は、日本にいると選択しか出せません。」と言った。

理先輩は、悲しそうな、寂しそうな顔をした。

そして、「きみは、僕がいなくても寂しくない?」と聞いた。

「寂しいですよ。でも、寂しいって泣いてばかりいるよりも、次に会える時に少しでも、輝けるようにと頑張りたいんです。理先輩が、アメリカで頑張ってるのに負けないように、追い越されないように。それが、支えです。」と私は言った。

理先輩は、私を力強く抱きしめてくれた。

そして、この夜は、久しぶりに理先輩の胸の中で、眠った。



< 67 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop