牙龍−元姫−
「いいの?」
「バカ。アイツよりマシだ」
里桜を指差して言う輝君。
「今日めちゃくちゃ機嫌ワリィし最悪だぜ。アイツの機嫌取りなんてゴメンだっつーの」
「でも機嫌直して貰わないと怖いんでしょ…?」
「……」
この間機嫌の悪い里桜は怖いと言っていたのを思い出した。輝君は図星だったのか口を紡ぐ。
「…アイツもお前みてえに“女”だったら良いのにな。気性が荒すぎるぜ。性格が残念でお手上げだ。」
「里桜は充分綺麗だよ」
「外見の事じゃねぇよ。中身だ、中身。ああいう女にはドMのやつしか寄り付かねえだろ。まず俺は無理だな。アイツと付き合った場面は彼氏と言う名の奴隷にされそうだ」
「…なら緑川君とか?」
里桜に懲らしめられながらもヘラヘラとしている緑川君を見る。
締められているのに笑顔の緑川君を見て輝君の言う通りもしかしたらドMなのかもしれないと思った。案外相性も良かったりして。
「それはねぇな。アイツがマゾな訳がねぇ。ヤられたら倍返しで遣り返すやつヤツだからな。それに風見と流じゃ相性最悪だろ。見ろよ、火花が散ってるぜ」
輝君は笑顔で睨み合う2人を見てため息をついた。
確かにわたしも溜め息が出るくらい、あの2人の仲は良好ではない。
里桜曰く“下心丸出しだから”嫌いらしい。
緑川君曰く“独占するから”気に食わないらしい。