牙龍−元姫−
コレクションを恍惚と眺める輝君に若干顔を青白くさせて、緑川君は言う。
「…別に輝は“何の”蓋とか興味ないんだよ。輝にとって執着があるのは“誰の”蓋かってことだから」
「はあ?意味分からないわ。輝のコレクションじゃないの?」
「違うよ。コレクターでもないし。ただ裏売買で手に入れたんだよ。“コレクターさん”の王冠をね」
里桜と緑川君の話しを小耳に挟みながら私は探るような眼差しで輝君を見つめる。
何でだろう、この違和感は。
コレクター?コレクション?王冠?
―――――全てに心当たりがある。
どこかで見た事のある王冠。
誰かに自慢気に見せられた王冠。
いつだったとか、誰だったとかは、
思い出せない。
ただ見覚えがある。
ポッと顔を赤らめて蓋に頬釣りする輝君――――――それが1つの記憶とリンクした。
そこでハッとする。
ずっとこの光景をドコかで見た気がしていた。
輝君は“誰か”のコレクションを欲していたらしい。
私の杞憂でなければガラクタを集めるなんて1人しかいなかった。
まさか――――――‥。
「これはな〜、“アイツ”のコレクションなんだよ」
――……やっぱり。
確信付いたと同時に少し引いてしまう。
「ヤダ、まじキモい。ドン引きなんだけど」
「ちょっ、里桜ちゃんキツい!本当のことでもスルーしてあげて!」
「だって“アイツ”ってアイツのことでしょ?死んでも欲しくないわ。ガラクタを集めるアイツも、アイツのコレクションを欲しがる輝もバカとしか思えないわ」
「あれがあるのとないので死活問題だから!」
里桜も誰のかわかったらしくイヤな顔をする。流石の緑川君も引いてるけど、フォローしてるところを見ると優しさに泣けてくる。
「ッテメエら好き勝手言いやがって!お子ちゃまなテメエらには王冠の良さが分からねえだけだ!」
「ヤダ。分かりたくもないわ。アンタだってその良さが分かりもしないじゃない。アンタの言う良さは“アイツ”の良さでしょ」
「ぐ…!」
相当なダメージを食らった輝君は板チョコをボキッとへし折った。