牙龍−元姫−









「西のもんでも知ってるやつは知ってる。この俺が知らねえわけねえだろ」

「なら今更止めてくれるかしら?アンタがあの男をどう思おうが勝手だけど、それを響子に押し付けるのは筋違いよ」

「べつに良いじゃねえか。誤解とけたんだろ?」

「そう言う問題じゃない!!」

「ならどういう問題だよ!!」





激怒する2人に肩がビクッと上下した。



私を守るように前に立つ緑川君の袖をすがるように握り、事の成り行きを見守る。





「誤解が解けたから何?そんなのアイツらの事情じゃない。片桐をどうしようが関係は修復されないわ」

「片桐を代償に“はい仲直りー”じゃねぇよ。ただのけじめだろ」

「けじめを付けようが、誠意を示そうが、響子はもう見限ってるのよ」

「それはテメーの意見だ。これから先の事なんて誰にも分からねぇんだよ。野々宮の意見が変わるかもしれねぇだろうが。」

「変わるわけ―――‥」

「押し付けてんのはテメーだ」





里桜が言う前に瞬時に言い返した輝君。





「いい加減気づけ。押し付けてんのはテメーなんだよ」

「……」

「野々宮の行く末を決めんのは、テメーじゃねえ。気づいてるか?いっつも野々宮は自分から意見すんのは、ほんの僅かだ。それ以外はテメーの意見をすんなり鵜呑みにしてる」

「…黙って」

「野々宮を縛ってんのはテメーだ」

「黙れって言ってるでしょ!?」





ガンッ!とバイクを蹴りつけた里桜。



そのとき緑川君が泣きそうな顔をした。忘れそうになるけど、それは緑川君のバイクなんだよ。





「――――ッアンタに何がわかるのよ!私は傷付いた響子を見てきたの!どれだけアイツらを殴り殺したくなったか知らないくせに!私から響子を奪っといてアッサリ棄てたアイツらをどれだけ憎んでると思ってるの!!?」





目を吊り上げて怒鳴る里桜に私が泣きたくなった。
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