牙龍−元姫−
イライラしながら人気のない小道を歩く。
微かに遠くから人の声が聞こえてくるが、ココは無人。
静かな道で鳴り続いていた曲はいつの間にか止んでいた。
いつしかポケット越しの震えも収まっている。
「チッ」
またどうせ掛かってくる…と苛立ちを露にした。
再度電話が掛かってくる前にと、足早に歩いていると
不意に目に入った奴に足が止まる。
ソイツは木陰に凭れ掛かりしゃがんでいた。
シルバーピアスが目立つ。
そして何より、
遠目からでも目立つ髪に顔を顰める。
輝かしい、その金色に。
しかし私には関係ない。そう結論づけて再び歩き出す。
ソイツと距離が縮まり何事もなく通りすぎようとした。けど、それは出来なかった。
「どこ行くんだよ」
引き留められたから。
目だけを動かして右側にしゃがみ込むソイツを見下ろせば、金色の髪から覗く鋭い目が私を捕らえていた。
…放っておいてよ。どうせ私には興味ない癖に。
「アイツを置いて、何処に行くんだよ」
ほらね、結局はあの子。
私の予想は当たっていた。
アンタ達の頭にはあの子の事しかないのかと思わず呆れてしまう。
「関係ないでしょ」
冷たく言い捨てる。汗で首にへばりつく髪が余計に私を苛立たせる。
そしてまたもやポケットから曲が流れ震動する携帯。あまりのしつこさに舌打ち。
何もかもが、私を腹立たせる。
「誰だよ」
「煩い」
聞いてくる金髪に一刀両断。しかしそんな私を金髪は鼻であしらい口を歪めた。
「お前、最近色々とあるみてえじゃねえか」
本当に、
何奴も此奴もムカつく。