牙龍−元姫−
こんな顔あの子の前では見せない癖に。もしも私に何かあればあの子が悲しむから?
きっとそう。
「アイツの事も、その電話も」
「何が言いたいのよ」
「――――昨日駅前でお前を見かけた」
イヤな所ばかり突いてくる金髪、基、加賀谷遼太に舌打ちしたくなった。
どうしてこんなにも牙龍はイヤな奴が多いのかしら?性格が悪い奴等の溜まり場なんじゃない?
あからさまに顔を歪めた私に更に口角を上げる。
「悩み事ばっかりじゃねえか」
――――誰のせいだと思ってんのよ、
歯を強く噛み合わせギリィと音を鳴らした。
コイツは私があの子について悩んでいる事を知っていていながらそう言ってくる。
駅前に居たのは確かよ。見掛けた事も本当だと思うわ。
でも、どうして居たのかは知らないだろう。
知らない癖に、分かったように言ってくる。
あまりの腹立たしさに顔が引き攣るが、ふと思い出す。