牙龍−元姫−
言っとくけど…
私はアンタが苛立ってる理由を知ってるわよ?
思わず勝ち誇ったように嘲笑してしまう。
「…相当苛立ってるみたいじゃない」
「それはテメエの方だろうが」
「そんなに七瀬の言葉が腹が立ったの?」
「あ?」
表情が、変わった。
短気な訳ではなさそうだけど今は別だろう。元々相当な苛立ちが見え隠れしていた。私への皮肉な言葉はただの八つ当たり。
形勢逆転。
笑みを深くし、呟く。
「…―――――」
――――その言葉に、擦れ擦れの拳を貰った。
頬に掠れた拳。
いつの間にか立っている金髪。その目は鋭く私を今にでも殺しそうなほど。そうしないのは、私が響子の友達だから。ただ、それだけ。
そうじゃなければ今頃殴られている、本気で。
例え女であろうと関係ない。
その言葉は今のコイツにとって、禁句同然。
ある意味、仕返しだった。
「…女に手を出すなんて男の風上にも置けないわね。そんなに苛立つ事でもないでしょ?」
「盗み聞きしてんじゃねえよ」
「聞き捨てならないわ。偶々よ」
そう、偶々。
あれは偶然だった。
偶然居合わせてしまってアンタ達四人の会話を耳に挟んでしまっただけ。