牙龍−元姫−
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「おせえ!何分待たせんだよ!」
校門付近に横付けされた黒のセダン。車から顔を覗かせる見慣れた一人の男。
端から見れば怪しさが半端ない。もう少し周りを見て路駐しろと思った。
車を運転するのに何でグラサンが要るのかしら。まず第一に安全性を考えなさいよ。
きっとグラサンが格好いいとか思っているのね。あー、ヤダヤダ。馬鹿菌が移るわ。
「テメェいま変なこと考えただろ!」
「言いがかりは止(よ)してよ」
「言っておくがこれは変装だ!グラサン掛けとけば顔バレしねえだろうが!テメェから呼び出しといて何だよ、その目は!」
「べつにぃ。それより流は?」
「…居ねえよ。野々宮は?」
「…居ないわよ」
互いに事情があることを察して、目を伏せる。
考えても埒が明かないから、と、車の中で話すことにした。