獣は禁断の果実を蝕むのか。
「いいか?大企業の重役が、大事な話をどこですると思う?」
「え?会社の会議室やホテルのラウンジじゃないんですか?」
「それは、公になってもいい段階の話になってから。」
「では…社長室?」
「違う。こういう場所だ。」
「はあっ!?」
大きく目を見開いて、辺りを見回した。
「ここなら、人の声で話もかき消される。飲んでいて他人の話など聞かないし、覚えてもいないだろう?」
「…確かに。」
「ホテルのラウンジや、ホステスなどのいる店で話すのは、聞かれていい話。逆に聞いて話を広めてもいらい、宣伝代わりに口コミとして利用する時だ。」
「じゃあ、ここは、まだ表に出せない話の時ってことですよね?」
「そうだ。」
「そんな所に、どうして私を?」
「オレの失態を隠したい…」
緩んだ口元は、冗談半分って分かる。
「専務。」
ムッと口をとがらせた。