獣は禁断の果実を蝕むのか。

さっきまでの無邪気な笑顔が、ピクリと眉をゆがませたと同時に表情から消えた。


「…その話。」


言葉をつまらせた。


「九重部長が言っていました。」


専務の強張った表情なんかお構いなし。


もう、アルコールの方が理性を上回っている。


「九重部長が…」


さらに言葉まで重たい。


「専務、あかりさんに、相当ひどいことをしたんじゃないんですか!?大体、専務は冷たすぎです。女には見境なく手は早いし。」

「冷たいか!?見境ないんじゃない。食べてくださいと差し出されたら、きちんと食べてあげるのが礼儀だろう?」


「冷たいじゃないですか。あのおっとりしたあかりさんだって、そんな男じゃ、愛想つかしますよ?」


酔っ払いの戯言ってより、酔っ払いが絡み付いているって感じ。


だって、そのおかげでいじめられているんだもん。


ここは言わずにはいられない。

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