獣は禁断の果実を蝕むのか。

「では、私は業務がありますので、失礼します。」


軽く頭を下げると、専務室を出て行った。


秘書室に戻ると、皆瀬さんが出勤していて。


みんなとソファに座りながら、京都のお土産を配っていた。


「皆瀬さん、おかえりなさい。」


ニッコリと笑って声をかけた。


「紗菜もどう?」


そう言いながらお土産の宇治抹茶のロールケーキの乗ったお皿を差し出したのは、室長だった。


「いただきます。」


差し出されたロールケーキを手に取ると、少し横にずれてソファを空けてくれた室長の隣に座った。


正面に座る皆瀬さん。


笑っている顔はいつもと変わらない。


そっか。


今日で、この会社ともお別れだ。
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