獣は禁断の果実を蝕むのか。
「仕事熱心な秘書だねぇ。業務時間外だ。いいんじゃねえ?」
スッと私の腕を引っ張った。
耳元に九重部長の唇が耳に触れそうなくらい近づいて。
「そんなのすぐに忘れるくらい、極上に気持ちいい息抜きさせてやるよ。」
重低音の効いた囁きに、ドクンと鼓動が鳴った。
返す言葉も出てこないくらい。
ジッと見上げる獣の目に捕らわれた。
「早く乗れ。」
スッと離された腕。
「あ…はい。」
ドクン
ドクン
ドクン。
高鳴ることをやめない心臓。