獣は禁断の果実を蝕むのか。
「へえ、一度。どこに行ったの?」
ゆっくりとテーブルにほおづえをついた。
「まあ…普通の居酒屋…です。」
顔まで重たくうつむいていく。
九重部長みたいに、こんな所には連れて行ってくれなかったけど。
でも、普段は見られない専務の顔は見れたし。
なにしろ、私自身がリラックスできて楽しかった。
本当の小松沙菜に戻って。
普通に楽しめたことなんか、横領してから一度もなかったから。
あんなに楽しかったのは久しぶり。
…もしかしたら。