獣は禁断の果実を蝕むのか。
ドックン
ドックン
って、うるさいくらい鼓動が高鳴って。
手にはジンワリと冷や汗をにぎる。
ソファセットの向こうの視界の中にほんの少し入るのは。
間違いなくキングサイズのベッドだ。
切り抜ける技術なんて、キャバ嬢並みの物は持ち合わせていない。
戸惑っているのがバレないように、冷静を装って夜景が一望できる窓辺に立っているのが精一杯。
「あの…九重部長は、何人くらいここに連れて来たんですか?」
そんな質問しかできない。
「なんだ?やっと、オレに興味を持ったか?」
ソファに座りながらメールをする九重部長の手が止まって。
私の顔を見上げた。
「そうではないですけど…慣れているなって思ったから。」
だって、まるで家にいるかのようにリラックスしているんだもん。
相当、遊んでいなきゃ、こんなに落ち着いていられないでしょ?