獣は禁断の果実を蝕むのか。

こんな嘘つきな私に。


向けてくれる言葉が温かく胸を包み込んでしまって。


押し込めていた罪悪感を一気に解放してしまった。


私は、このままでいいの?


嘘つきのまま。


大事な人を裏切って。


裏切られる気持ちなんて、知っているはずなのに。


保身?


本当の自分を見せる怖さ?


罵倒される辛さ?


呆れられる悲痛感?


自分の弱さばかりが頭に浮かんでしまう。


そして、おもむろにバックの中を漁って。


取り出した携帯。


ポン


と、音がして開いたドア。


ゆっくりと立ち上がると、ギュッと携帯電話を握りしめた。

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