獣は禁断の果実を蝕むのか。

専務の毛布に包まれていた。


ムクッと起き上がると、辺りを見回した。


今日は、ちゃんと専務はスーツを着ていて、カタカタとパソコンを打って仕事をしていた。


「…服はそこに置いてある、着替えて行け。」


私には視線は向けなかったけど。


テーブルの上にスーツとブラウスがキレイにたたまれていた。


「あ…でも。」


戸惑う私に


「そのままじゃ、仕事にならないだろう?オレが用意したヤツだ。安心しろ。」

「専務が用意したんですか!?」


驚くしかない。


いつの間に、買ってきたの?


「ずっと、渡せなかったモノだ……いつもの服は、他の奴に情欲の目で見られる。欲情はオレひとりが抱くのでは不満ですか?」


ムスッと口をとがらせ、つぶやきながら。


視線をうつむけて外に向けた。


…初めて見た。


専務のヤキモチ妬いたすねた顔。


思わずかわいいと思ってしまう。

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