獣は禁断の果実を蝕むのか。
モゾモゾと着替え終わると、かぶっていた毛布をたたんで、ソファの上に置いた。
なんか、しっくりくると思ったら。
いつものパステル系のスーツじゃなくて。
地味な小松沙菜って、本当の自分だった頃を思わせるような黒っぽいスーツ。
しかも、いつもならひざ上何センチ?ってくらい短いスカートだけど。
このスーツはひざ下何センチ?って聞きたいくらい長い。
落ち着いてしまう自分が悲しいくらい。
着替えた私の姿をチラッと見ると、スッとイスから立ち上がると、口元を緩めながら目の前に立った。
グイッといきなり腕を引っ張ると、ギュッと胸の中に抱きしめた。
「……あの?……専務?」
何が起こったのか驚いて、大きく目を開いた。