獣は禁断の果実を蝕むのか。

モゾモゾと着替え終わると、かぶっていた毛布をたたんで、ソファの上に置いた。


なんか、しっくりくると思ったら。


いつものパステル系のスーツじゃなくて。


地味な小松沙菜って、本当の自分だった頃を思わせるような黒っぽいスーツ。


しかも、いつもならひざ上何センチ?ってくらい短いスカートだけど。


このスーツはひざ下何センチ?って聞きたいくらい長い。


落ち着いてしまう自分が悲しいくらい。


着替えた私の姿をチラッと見ると、スッとイスから立ち上がると、口元を緩めながら目の前に立った。


グイッといきなり腕を引っ張ると、ギュッと胸の中に抱きしめた。


「……あの?……専務?」


何が起こったのか驚いて、大きく目を開いた。

< 328 / 387 >

この作品をシェア

pagetop