獣は禁断の果実を蝕むのか。


もう、何もかも新しい生活をしようと思ったから。


夢は終わったって。


だから、引っ越しまでしたんだけど。


「それで………何の用ですか?」


もう、夢で終わらせてほしかった。


甘い禁断の果実が見せた夢だったって。


なのに、現実にまで現れたら。


胸の痛みを止める理由が無くなっちゃう。


「答えを聞いていませんでしたからね。」

「答え…ですか?」


何か言われていたかな?


覚えはないけど。


「分相応になりますか?」


ジッと見つめる瞳は。


冷酷なはずなのに。


オレンジ色のランプに照らされて。


温かく穏やかに見える。


まるで、獣が禁断の果実を抱いて眠るかのよう。
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