結婚できるの?
亜里沙は危うく涙が出そうになった。

陽太と付き合っていた頃、二人で色々な店のチーズケーキを食べたことを思い出して。

当時の思い出が次々と脳裏に浮かび、涙をこらえるのに必死だった。


「なんか思い出しちゃうな……。陽太と一緒にチーズケーキを食べたこと」


黙っていると涙が出そうで、亜里沙は無理して明るく言った。

陽太は戸惑いの顔になり、申し訳なさそうな声を出す。


「……ごめんな」


その一言に陽太の思いは凝縮されている。

もう二度と亜里沙と付き合う意志はないのだ。
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