ふたつの背中を抱きしめた
昼食を食べ終わると同時にボランティアさんが来たので、子供達を任せて柊くんと昼食の後片付けをした。
2人きりになった食堂で、柊くんが小声でもう1度私に聞く。
「仕事終わったら来てよ。真陽と2人になりたい。」
今度は真剣に言った柊くんに、胸の奥がキュッとなるけれど。
私は黙って首を横に振った。
途端に柊くんの顔が不安そうになる。
「…やっぱ後悔してんの?」
「そうじゃないよ。
でも…私には家で待ってる人がいるんだもん。」
昨日の綜司さんの泣き顔を思い出して、唇を噛む。
「じゃあもう来ないの?」
「そんなの…分かんない。」
この先、どうなるかなんて。
どうしたらいいかなんて。
私にも分からない。
「なんだよ、それ!なんでそんな飼い殺しみたいなコトするんだよ!」
柊くんが強く私の手を掴んだ。
その拍子に持っていたスプーンが落ちて床に跳ねる。
私を睨み付ける柊くんの強い眼差しを、私も負けずに強く見つめ返す。
「柊くんだって分かってたコトでしょ!?私がこういう立場だって!普通の恋人にはなれないんだって!」
私の言葉に、柊くんが目を見開いて黙る。
力の抜けた柊くんの手をほどき、私は落ちたスプーンを拾った。
そのまま他の食器と一緒に洗い場へと運ぶため私は立ち尽くす柊くんを残し食堂を出た。