ふたつの背中を抱きしめた
約束の代わりに、唇を重ね
誠意の代わりに、肌を重ねる
そして、
想いと一緒に、罪を重ねた。
「真陽って肌スベスベだよな。」
「そ、そう?」
すっかり冷めてしまったスパゲッティを口に運びながら、柊くんは突然そう言った。
「うん、ずっとくっついていたくなる。」
平気な顔で刺激的なコトを言えるのは、柊くんの幼いほどの若さ故か。
「胸はちっちゃいけどな。」
刺激を超越したその言葉に私はスパゲッティを思いっきり喉に詰まらせた。
本気でむせながら麦茶を飲む私を柊くんはキョトンと見た後、可笑しそうに笑いながら背中をさすってくれた。
「…柊くん一言多い。」
「怒った?気にしてるの?」
そう言う柊くんの瞳に悪戯っ子の色が宿る。
「真陽ってさ、大人なんだけど背低いし胸小さいし撫で肩だし、なんつーかこう…こういうのなんて言うんだっけ、えっと…ち、」
「ちんちくりんって言うなー!」
「そう!それ!ぴったり!」
柊くんが、手をパンと打ち鳴らして指差した。
頬を膨らませてそっぽをむいた私に柊くんがクスクス笑いながら近付いてくる。
「真陽、ちんちくりーん。」
「うるさい。もう口聞かない。」
ひたすらそっぽを向く私の頭を柊くんがキュウッと包む。
「真陽ってこんな風に怒るんだな。可愛い。」
「離してよー…食事進まないじゃん。」
柊くんが私を包む。
刹那の恋人を楽しむように。