ふたつの背中を抱きしめた
園長は救いたかった。
柊くんを救いたかった。
紛れもなくそれは、慈しみ。
子供を笑顔にする仕事に人生を捧げてきた園長の、誤魔化しきれない心残り。
それが、柊くんだったから。
「…柊くん、とてもよく笑うようになったわよね。
ありがとう、貴女のおかげよ。」
園長は、私をまっすぐ見ながら微笑んだ。
とても、温かい笑顔で。
私は、自分でも気付かないうちに
頬に涙が伝っていた。
「…櫻井さん、柊くんの事が好き?」
静かに、とても静かに、園長は聞いた。
「…分かりません…。ただ、彼の笑顔が見たくって…
…でも…今、心惹かれている事は、確かです…」
初めて、口にした。
柊くんへの想いを。
誰にも言えなかった深い罪を。
身体の中で心の中で抑えつけられていた熱いものが込み上げて
とめどない涙になって流れていく。
「…つらい想いをさせてしまったわね…本当にごめんなさい。」
私は涙を拭いながら園長の言葉に頭を振るしか出来なかった。