ふたつの背中を抱きしめた




桜と共に咲いた私の初恋は
春が過ぎても、何年経っても、散る事は無かった。


日々を重ね
季節を重ねるごとに
綜司さんへの愛情が深くなっていく。


それは、綜司さんも同じように見えた。


「真陽。」


私を呼ぶ時のなんて優しい声。

私を撫でる時の大きな手。

抱き留めてくれる時の胸の温もり。

その全てが

私を愛してくれている。

私を欲している。



ある時、私は聞いてみた。

「綜司さんは私のどこが好きなの?」

綜司さんはしばらく一生懸命考えてから

「真陽が、真陽らしいところ かな」

と答えた。

なんだかよく分からない、と云った表情の私に

「ごめん、上手く言葉で説明出来ないみたい。
いつか、ちゃんと分かるように伝えられるようにするから。」

綜司さんはそう言って頭を撫でてくれた。



容姿も良くて優しい綜司さんは女の子にモテるんじゃないかと気を揉んだコトもあったけど、
綜司さんがあまりに誠実に、ひたむきに、私を愛してくれるから私の心配はあっという間に杞憂だと気付かされた。



私は、幸せだった。


男性(ひと)を愛する事を知って

男性(ひと)に愛される事を知って

私は本当に

幸せだった。

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